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不妊治療は保険適用でいくら?費用の目安と使える制度を徹底解説

田中 あおい / 更新:2026-06-24
不妊治療は保険適用でいくら?費用の目安と使える制度を徹底解説
「保険適用になったって聞いたけど、結局いくらかかるの?」——私が不妊治療を始める前に一番知りたかったのは、まさにこれでした。結論から言うと、自己負担は原則3割。体外受精なら1回10万〜20万円程度が目安で、回数制限や年齢条件をクリアすれば負担はぐっと軽くなります。

ただし「1回いくら」で一律には決まりません。検査・薬剤・通院回数で総額は変わります。

この記事では、検査からタイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精まで段階別の費用、回数別の累計シミュレーション、使える制度までを、私自身の経験とクリニック取材をもとに整理します。治療を始める前に、自分の場合の見当をつけてください。

不妊治療の保険適用とは?2022年4月からの制度の基本

不妊治療の保険適用から1年「むしろ費用増えた」人も…ナゼ?現状と課題は?【news23】
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2022年4月、不妊治療をめぐる制度が大きく変わりました。体外受精や顕微授精といった生殖補助医療が、健康保険の対象になったのです。自己負担は原則3割です。

不妊治療の定義と治療のステップ

不妊治療は、一般的に段階を踏んで進みます。まずタイミング法、次に人工授精、それでも難しければ体外受精・顕微授精へと進む流れです。

厚生労働省の制度説明でも、保険適用の内容は「一般不妊治療」と「生殖補助医療」に分かれて案内されています。前者がタイミング法や人工授精、後者が体外受精や顕微授精にあたります。

2022年4月から保険適用範囲が拡大した背景

それまで体外受精や顕微授精は全額自費が基本でした。1回数十万円という負担が、治療を諦める理由になっていた。私の周りでも「お金が続かない」と途中でやめた人が何人もいました。

2022年4月の改正で、この高額な生殖補助医療が保険でカバーされるようになりました。これは当事者にとって本当に大きな転換でした。

特定不妊治療費助成制度の終了とその影響

保険適用の拡大と入れ替わる形で、それまでの特定不妊治療費助成制度(国の助成金)は役割を終えました。助成金で一部を補填するのではなく、最初から保険の3割負担で受けられる仕組みに移行したわけです。

ただし後述するように、自治体によっては独自の上乗せ支援が残っている地域もあります。お住まいの自治体は必ず確認してください。

保険適用となる治療と適用外の治療の違い

ざっくり言うと、標準的な一般不妊治療と生殖補助医療は保険適用。一方で、PGT-A(着床前検査)やタイムラプス撮影などの先進医療、卵子凍結(医学的適応以外)は保険の対象外です。

この線引きが、後で「結局高くなるのでは」という不安につながります。先進医療と保険の併用については後半で詳しく触れます。

不妊治療は保険適用でいくら?段階別の自己負担総額

ここが一番知りたいところでしょう。実際の保険診療費(3割負担)を、段階ごとに見ていきます。数字はクリニックが公開している実例をもとにしています。

不妊治療は保険適用でいくら?段階別の自己負担総額

検査にかかる費用の目安

治療に入る前に、ホルモン検査・超音波・精液検査などの基本検査があります。これらの多くは2022年以前から保険適用でした。

検査費は項目数で変わるので「いくら」と一律には言えませんが、再診料・超音波・採血などが都度加算される点は覚えておいてください。

タイミング法・人工授精にかかる費用

一般不妊治療の管理にかかる「一般不妊治療管理料」は、3割負担で750円。人工授精は3割負担で5,460円という例が示されています。

正直、ここの段階は思っていたより安いと感じる人が多いはずです。私もタイミング法の頃は1回の通院でワンコイン前後のことがありました(薬がなければ)。

体外受精・顕微授精にかかる費用

金額が一気に上がるのが生殖補助医療です。管理料(生殖補助医療管理料)は3割負担で900円。そこに採卵術9,600円(基本)、胚移植術22,500円の例などが積み上がります。

採卵術には採れた卵子数に応じた加算があります。慶應義塾大学病院のモデルケースでは、体外受精の保険診療費が約6.6万円、約12.2万円といった実例が示されています。

保険診療と自費診療の費用比較

段階別の保険診療費(3割負担)の目安
いずれもクリニック公開の実例。検査・薬剤・再診料が別途加算されるため、実際の総額は施設・治療内容で変動します。
治療・項目保険診療(3割負担)の例出典
一般不妊治療管理料750円おおのたウィメンズクリニック
人工授精5,460円おおのたウィメンズクリニック
生殖補助医療管理料900円おおのたウィメンズクリニック
採卵術(基本)9,600円+卵子数の加算こばらしクリニック
胚移植術22,500円の例あさひレディースクリニック
体外受精1回(総額目安)約6.6万〜12.2万円のモデル例慶應義塾大学病院

改正前の自費時代は体外受精1回で数十万円が当たり前でした。3割負担になった効果は、表を見れば一目瞭然です。

回数別の累計費用シミュレーションと保険適用の上限

1回の費用が分かっても、不妊治療は「何回で授かるか分からない」のが現実です。だから回数制限と累計費用を知っておくことが大事になります。

回数別の累計費用シミュレーションと保険適用の上限

保険適用の回数制限と年齢による上限の詳細

保険適用には条件があります。治療開始時点で女性が43歳未満であること。これが大前提です。

回数制限は、初めて治療を開始するときの女性の年齢で決まります。40歳未満なら1子ごとに通算6回まで、40歳以上43歳未満なら通算3回まで。

このカウントは胚移植ベースで扱われます。採卵そのものに上限があるのではなく、胚移植の回数が制限の対象です。

妊娠・出産までにかかる累計費用の具体例

体外受精は保険適用後で1回あたり10万〜20万円程度という案内が医療機関記事にあります。診察・検査・薬剤を含めた保険診療の総額目安としては、約7.8万〜20万円、別記事では約6.5万〜16.4万円という幅も示されています。

これを胚移植の回数で掛けてみると、現実的な累計のイメージがつかめます。あくまで概算です。

体外受精の累計費用シミュレーション(保険適用・概算)
1回10万〜20万円という医療機関の目安をもとにした単純計算。実際は高額療養費制度で月の上限が効くため、これより負担が下がる月もあります。
胚移植の回数累計の目安(下限)累計の目安(上限)
1回約10万円約20万円
3回約30万円約60万円
6回(40歳未満の上限)約60万円約120万円

治療がうまくいかなかった場合の追加費用と転院時のコスト

正直に書きます。回数の上限(6回・3回)を超えると、その後の体外受精は全額自費になります。ここが一番こわいところです。

転院しても回数のカウントはリセットされません。年齢区分の判定も初回開始時の年齢で固定です。転院では検査をやり直すケースが多く、その分の費用と時間が追加でかかる点も見込んでおいてください。

保険適用の対象者になる条件と手続きの実務

不妊治療にかかるお金 保険適用でいくらに?
不妊治療にかかるお金 保険適用でいくらに?

「うちは対象になるの?」という不安に答えます。条件はシンプルですが、事実婚の場合は書類の準備が必要です。

生殖補助医療が保険適用になる対象者の条件

前述のとおり、治療開始時点で女性が43歳未満であること。これが生殖補助医療の保険適用の基本条件です。回数上限も初回開始時の年齢で決まります。

事実婚カップルの適用条件と必要書類

法律婚だけでなく、事実婚のカップルも対象になります。ただし関係を確認する書類の提出を求められるのが一般的です。

具体的に何を出すかはクリニックや自治体で運用差があるため、初診予約の段階で「事実婚で受診したい」と伝え、必要書類を確認しておくとスムーズです。これは要確認の項目です。

初診から治療開始までの事前準備と費用・期間の流れ

私の経験では、初診→各種検査→結果説明→治療方針の決定、という流れで1か月前後かかりました。検査結果が出るまで治療には進めません。

初診時は基本検査で再診料・超音波・採血などが加算されます。保険証と、生理周期のメモを持参すると話が早いです。事前に「健康保険証」「これまでの検査結果(あれば)」をそろえておきましょう。

先進医療と男性不妊治療の費用と保険併用の注意点

「保険適用でも先進医療や男性不妊は対象外で結局高いのでは」——この不安に正面から答えます。

先進医療と男性不妊治療の費用と保険併用の注意点

混合診療の扱いと先進医療特約の活用

日本では原則、保険診療と自費診療を同時に行う「混合診療」は認められていません。ただし国が認めた先進医療なら、保険診療と併用できます。

ここで効いてくるのが民間医療保険の「先進医療特約」です。先進医療の技術料は自費ですが、特約があればその分が給付される場合があります。加入中の保険があれば内容を確認する価値があります。

PGT-A・タイムラプス・SEET法などの費用と併用可否

PGT-A(着床前検査)、タイムラプス(胚の培養を連続撮影する技術)、SEET法などは先進医療に位置づけられるものがあり、保険診療と併用できます。

これらの技術料は自費部分です。クリニックや技術によって金額が異なるため、保険適用部分と先進医療部分を分けた見積もりを出してもらうのが確実です。具体額は施設ごとに要確認です。

男性不妊治療(精索静脈瘤手術・TESEなど)の費用

不妊の原因は女性側だけではありません。精索静脈瘤の手術やTESE(精巣内精子採取術)など、男性不妊の治療にも保険適用される範囲があります。

パートナー二人で受診し、両方を並行して調べることが結果的に近道になります。男性側の検査(精液検査)は早い段階で受けておくと方針が立てやすいです。

費用負担を軽減するために使える制度

保険適用の3割負担に加えて、さらに負担を下げる制度があります。使えるものは全部使う、が私の考えです。

費用負担を軽減するために使える制度

高額療養費制度の仕組みと利用方法

高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担が一定の上限を超えた分を払い戻す仕組みです。体外受精の費用記事でも、この制度の活用が案内されています。

採卵から胚移植まで同じ月に集中すると医療費がかさみますが、その月の自己負担に上限が効きます。事前に「限度額適用認定証」を用意しておくと、窓口での支払い自体を上限までに抑えられます。

医療費控除による還付の試算と高額療養費制度との併用

1年間の医療費が一定額を超えたら、確定申告で医療費控除を受けられます。高額療養費で払い戻された分は差し引いて計算しますが、両方を併用すること自体は可能です。

不妊治療は通院の交通費も対象になる場合があります。領収書と交通費のメモは必ず残してください。私は1年分をクリアファイルにためて、確定申告でまとめて申請しました。

各自治体に残る独自支援の最新確認方法と申請

国の助成金は終了しましたが、自治体独自で保険診療の自己負担や先進医療費に上乗せ支援を出している地域があります。内容は自治体ごとにばらばらです。

確認は「お住まいの市区町村名 不妊治療 助成」で公式ページを探すのが一番早い。申請には治療を受けた医療機関の証明書や領収書が必要になることが多いです。これは要確認の項目です。

民間の医療保険の活用

前述の先進医療特約に加え、不妊治療に対応した民間保険も増えています。すでに加入している保険があるなら、給付対象になるか問い合わせる価値はあります。

ただし加入時期や告知の条件があるため、「これから入れば全部カバーされる」とは限りません。ここは過度に期待しないほうが現実的です。

クリニックや地域による費用差の実態と選び方

【不妊治療の“保険適用”】初調査  負担減のはずが…治療費が増えた人も
【不妊治療の“保険適用”】初調査 負担減のはずが…治療費が増えた人も

同じ保険診療でも、最終的な支払額はクリニックで差が出ます。なぜか。検査の組み方や使う薬、先進医療の有無が違うからです。

保険点数の違いと地域・クリニックによる費用差

保険点数(治療の値段)は全国共通です。それでも総額が違うのは、再診料・超音波・採血・薬剤費などの加算と、採卵できた卵子数による加算が積み上がるためです。

だから「1回いくら」で一律には決まりません。見積もりを取るときは、保険部分と自費(先進医療)部分を分けて確認するのが鉄則です。

2022年改正前後で総額がどう変わったかの比較

体外受精1回の費用イメージ:改正前後
改正前は全額自費が基本、改正後は3割負担。改正後の数値は本記事で示したクリニック実例・目安に基づく概算です。
時期費用の扱い1回あたりの目安
2022年3月以前原則全額自費数十万円規模
2022年4月以降保険適用・3割負担約10万〜20万円程度

この差を見ると、改正後に治療を始められる人は本当に恵まれていると思います。私が始めた頃に欲しかった制度です。

こんな人におすすめのクリニックの選び方

費用だけで選ぶと後悔します。私が見るべきだと考えるポイントを、タイプ別に整理しました。

タイプ別・クリニックの選び方
こんな人重視すべきポイント
とにかく費用を抑えたい保険診療部分の見積もりを明示してくれるか、先進医療を必要時のみ使う方針か
できるだけ早く結果がほしい採卵・胚移植のスケジュールが組みやすいか、検査が短期間で終わるか
年齢の上限が近い回数・年齢条件の判定を初診で丁寧に説明してくれるか
男性不妊も心配男性側の検査・治療に対応しているか、泌尿器科と連携があるか

料金プランの公開度合いも見てください。保険診療の費用表を公開しているクリニックは、説明が丁寧な傾向があります。

不妊治療の保険適用に関するよくある質問

よくある質問

不妊治療の保険適用とは?
2022年4月から、体外受精・顕微授精などの生殖補助医療が健康保険の対象になった制度です。自己負担は原則3割で、それまで一部だけ保険適用だった一般不妊治療に加え、高額だった生殖補助医療もカバーされるようになりました。
不妊治療は保険適用でいくらかかる?
段階で異なります。人工授精は3割負担で5,460円の例、体外受精は1回あたり10万〜20万円程度という医療機関の目安があります。検査・薬剤・再診料が別途加算されるため、施設や治療内容で総額は変わります。
保険適用で不妊治療を始めるには?
まずクリニックを受診し、各種検査で原因を調べてから治療方針を決めます。生殖補助医療は治療開始時点で女性が43歳未満が条件です。事実婚の場合は関係を確認する書類が必要になることがあるため、初診予約時に確認してください。
回数の上限を超えたらどうなる?
40歳未満は通算6回、40歳以上43歳未満は通算3回(いずれも胚移植ベース)が保険の上限です。超えた分の体外受精は全額自費になります。転院しても回数や年齢区分の判定はリセットされません。
先進医療や男性不妊治療は保険対象?
PGT-Aやタイムラプスなどの先進医療は自費ですが、保険診療と併用できます。民間保険の先進医療特約が使える場合もあります。精索静脈瘤手術やTESEなど男性不妊治療は保険適用される範囲があります。

最後に一つだけ。費用は不安の大きな部分ですが、年齢の条件がある以上、迷っている時間そのものがコストになります。気になるクリニックの保険診療費の見積もりを一度もらいに行く——それが私の勧める次の一歩です。

不妊治療の保険適用に関するよくある質問
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田中 あおい

医療・健康分野専門ライター(妊活・婦人科領域担当) ・ 不妊治療経験者として複数の婦人科クリニックへの取材実績あり
医療ライター歴8年

自身も不妊治療を経て第一子を出産した経験を持つ医療ライター。クリニックへの取材と当事者インタビューをもとに、迷っている人が「次の一歩」を踏み出せる記事を書くことを心がけている。

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田中 あおい
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